夏香の苦悩

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夏香の苦悩

深雪は依代体質、繊細なエンパス、 鋭敏過ぎる神経ゆえに生きずらい人生を歩み心が壊れる前に脳が精神の病気に罹患する事で深雪本来の持つ特異体質を自己防衛本能の如く抑制している様であった。 認知の歪みを取り除く事では根本的な 治療にはならない事も夏香には気付いていた。 夏香は深雪が怖い それは深雪の中に涼子が居るからである 最初は夏香自身、自己保存から 監視目的で深雪にカウンセラーとクライアントとの仕事上の付き合いを越えて 近付いていった。 加納 深雪 友達として付き合っていく内に 彼女の神聖さに打ちのめされていった。 そして彼女の魅力にのめり込んでいった 年齢が近く女同士で二人共に孤独であったからかもしれない。 夏香は深雪に癒しを求めている 夏香は深雪の中の光が眩しくて 己の目が潰れてもいいとまで 思い求めている 救って欲しいからだと思う 自分の過去の過ち、償えほどの過ち、 薄汚れた自分の悔悟が 深雪の神聖な魂に引き寄せられていった 全く、これではどっちが カウンセラーとクライアントか 分からない 逆転現象ではないか。 安易な感情転移現象ではない 自分の過去との邂逅でもない 今まで夏香が必死に勉強してきた 臨床心理学にも当てはまらないのが深雪 彼女は依代体質、あの世の者の声を伝えてくれるイタコのような存在 臨床心理士という科学者の立場を 根底から覆され別の視点を産み出してくれた深雪、今では夏香にとってはかけ替えのない神様のような存在 だけど夏香の理性は危険信号も灯している。 依存、依存 これ程危険な思考はないと… (深雪、貴女の中には誰がいるの…涼子だけじゃないみたい、何人いるの…)
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