第四章 ワンナイト・ジゴロ

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フカフカの真っ白なソファーに腰かけ 女性陣ははしゃいでメニューを見ていた ここではすべての注文が半透明のキラキラした タッチパネルで操作し その注文はWi-Fiでカウンターのドリンクマシンに 連結され全自動マシンが注文された カクテルやビールを作っていた 聡子が自動でグレープフルーツをマシンの手が 絞っているのを見て歓声をあげていた 「ねぇ!あちこちに芸能人がいるわ!」 「あっ!あの人見たことある! 有名なYouTuberよ!」 はしゃぐ二人を後にして 凝った装飾が施された内装を見て幸次が言った 「ここの目新しさが薄れるまで あと一年はかかるな ま!俺たちはもう来飽きてるがな!   思わずそのジョークに拓哉も笑った 拓哉はクラブソーダを飲みながら弘美から 目が離せなかった もう一度弘美を盗み見る 赤のふわふわのモヘアニットドレスが 肩からずり落ちてまた鎖骨が見えている リムジンの中でコートを脱いだ彼女を初めて見た時から あのニットはその後もずり落ち続け 拓哉をじらすように柔らかそうなクリーム色の肌が少しずつあらわになっていく 紫色のキャミソールドレスのストラップもだ あのストラップなら歯で引きちぎれるだろう そこでふと我に返るいったいどうしたんだ?僕は? 彼女といるとどうして思春期の小僧になったような 気分になるんだろう それでも拓哉は彼女のあの肩から どうしても目が離せずどうにかなりそうだった 一方弘美の方も今夜は本調子ではなかった 「彼がこっちへ来るわよ」 ひそっと聡子が弘美に耳打ちした カウンターに幸次と何やら話してた 拓哉が食べ物がのった大皿を持って こちらにゆっくりやってくる 全身から腹立たしいほどの魅力を発しながら 近づいて来る拓哉を思わずうっとり見つめてしまう
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