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「あれって何だったんだろうね」
ウォラーレはあたしの家でもぐもぐとパンを頬張っている。
図太い。
「何って、世界を破壊しかけた災厄でしょ?そんな感じじゃなかったけど。顔だけ見たらアートルムの方が大悪人に見える」
あたしは正直、疑っている。
復活したウェントゥスさえもイデアの罠でないとは言い切れない。
「あはは、そうだね。僕もわかんないや。でも今日は助けられたんだよね」
「一応ね」
お人好しで間が抜けたウォラーレが世界の形を変えてしまうことだってあり得るのだと、あたしは今日改めて自分に言い聞かせた。
決して油断せず、あたしはあたしで、ウォラーレはウォラーレのままでいられるように。
今はこのまま、少しだけ時が止まればいいと思った。
【完】
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