リユニオン

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スーツケースを抱え、見慣れた駅に降り立つ。 電車の中からはわからなかったけれど、ちらちらと雪が降り、地面に少し積もっていた。 こうして、もう二度と訪れまいと思っていたこの街に降り立ったのは、ほかでもない恩師に頼まれてのことだった。 * 拝啓 小寒を過ぎ、寒さも本格的となって参りました。みなさん、お元気でお過ごしでしょうか? さて、この度手紙をしたためるに至ったのは、私事ではありますが、教職から退いて2年ほどが経ち、新しいことに挑戦することになったゆえなのです。 師弟関係のよしみとして、当時3年×組だったみなさんにぜひ意見をお聞きしたく、同窓会も兼ねて来る○月×日、時間は正午を目安に、私の自宅に招待したいと思います。強制は致しませんが、ご参加いただけると幸いです。 それでは、お会いできる日を楽しみにしております。 敬具 * こんな手紙をもらってしまったら、出向かないわけにはいかない。 黒歴史を呼び起こす原料になる同級生のことは考えないように、わたしはバスに乗り換えた。
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