コミュ障じゃないんですが独りです

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確かに仲間は沢山いたんだ。 でも 気が付いたら、独りになってた。 さっきまで友達と居たはずなのに、部屋の中に独りぼっち。 寂しい。 不安な気持ちが大きくなる。 でも、こうなることは前々から少しは知っていた。 でもしばらくすると、自分から新しい仲間のところへいけると何故か予想できた。 勘てやつ。 だからまあ、「時がきたんだ」ってある程度、今の自分を受け入れる事はできた。 ここの部屋に慣れて来た頃、外で何か聞こえるようになった。 防音は甘いみたいだ。 大体1人か2人の声、たまに沢山の声も聞こえた。 ご近所さんはどうもみんな優しそうな人みたいだ。 良かった。 怖い人がいなくて。 たまに喧嘩する声も聞こえたけど、そのとき時は部屋の壁を蹴ってやるんだ。 すると「ごめんね」と聞こえて、静かになる。 反対にとっても優しい音楽が聞こえてきたり、歌声が聞こえてくることもある。 それを聴きながらいつか仲間がまた沢山できる日を楽しみにしていたんだ。 でも、それも飽きたある日、ここから出ようと決めた。 とにかく、部屋が狭い。 でも、部屋の出口は、自分の頭も通らない程の小さな穴だ。 が、後には戻れない。 急に怖くなった。でも、勇気を振り絞る。 ここから出るんだ。 部屋の壁を蹴って、細い穴に頭を通してみる。 うん。小さい穴だけど無理やり通る事はできる。 ゆっくり体をなんとかねじらせて、壁を少しづつ蹴り、頑張ってみる。 ご近所さんの声が道を進むにつれて大きく聞こえるようになった。 そうか、きっともうすぐ出口だ。 「頭が見えましたよ!次で出すからね」 ん?頭が出口から出た?頭が少しスースーする。 じゃあ、今からいっぱい仲間に会えるんだね! まずはご近所さん。 いつも1番沢山の声を聞いていた人、その人に会ってみたいな。 そして僕は力一杯外に出ようと足を踏ん張りゆっくり旋回した。 「お母さん、産まれましたよ!元気な男の子です!おめでとうございます!」 眩しい!これが部屋の外の世界! お腹が膨れるまで空気を吸い込んだ僕は嬉しくて泣いた。 まさに大号泣。 だってさ、狭い道を通ってくるのも疲れたし、不安も沢山あったからだよ。 「ああ、私の赤ちゃん、お母さんよ」 あれ!? この声は、毎日一番よく聞いていたご近所さんの声じゃないか! お母さんって言うのか。 すごく安心する。 僕はお母さんの胸に抱かれると安心して目を閉じた。 「ハッピーバースデイ、おめでとう、赤ちゃん。私たちのところに生まれてきてくれてありがとう」 優しいお母さんの香りに包まれて僕は眠る。 おめでとうお母さん、僕を産んでくれてありがとう。
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