ディアホワイトレーンディア

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 もしも世界の果てというものがあるのなら、ここがまさにそれだと思った。  私の記憶の中にある世界と君の記憶の中にある世界の狭間は、互いに干渉し合うこともなく、ただただその空間を白い絵の具が占領している。  ああ、君は真っ白の絵を描いている途中なんだね、と君は遠くからつぶやいたのだけれど、そのSNSのつぶやきは、すぐに削除されてしまった。  私はネット上になにかを書き込むのでもなく、真っ暗な部屋で独白する。 「ほんとはカラフルな絵が描きたかったんだ。だけど私の道具箱にはもう、白の絵の具しか残ってなかったの。」  私のその言葉はね、白い煙となって私の凍えた身体とともに、毛布に(くる)まったんだ。だからって君になにかを、私のほんとの気持ちを伝えることの代わりにはならなかったんだけどね。
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