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「十分すぎる」
「確証のない、伝聞による断定だよ」
「でん…なんだって?」
「親が最低なら子も最低、か」
乃々をふざけた髪の子と、蔑む母親がいる。
透けるほど明るい髪は地毛。はっきりした顔立ちは母親譲りで、ふざけてなんかひとつもないと何度も言ったのに、覚えられないのだろうか。
彼女の存在に、娘がどれだけ救われているかなんて、どんなに優しいかなんて、なにも知らないくせに。
説明するたび「付き合うのをやめなさい」と目を釣り上げるから、もう諦めた。もどかしくてたまらない。
「待て。待て待て。それはちがうだろ」
「つまり私が子どもを産んだら、その子も最低。へー。そう」
「おい。ほんと、待て。あいつが産めって?」
「言ってない」
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