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小学五年の時、俺は初めて恋をした。
相手は同じクラスの、井田悠斗。
初恋の相手が同性だということに、俺は絶望に近いほどのショックを受けた。認めたくないのに悠斗のことばかり考えてしまうし身体が触れれば心臓が騒いでしまう。頭がおかしくなったんじゃないかと悩んで悩んで、そうしているうちにあっという間に卒業の時が来てしまった。
悩み抜いた末に、俺は悠斗に告白することを決意した。自分でもまだ受け入れられた訳じゃなかったけど、悠斗とは別々の中学に行く。もう会えなくなってしまう。最後に俺の想いだけでも伝えたかった。
「え……、と……? 冗談、だよね……?」
悠斗の反応は露骨だった。一歩下がって、理解不能な変人を見る目で俺を見た。
「──冗談なんかじゃないよッ!」
悠斗の肩を掴もうと詰め寄った。悠斗の反応はショックだったけど、一年以上悩んだ俺の気持ちをせめて信じてほしくて必死だった。
「……ッ!」
汚いものから逃げるように更に後ろに下がって、「ボクそういう趣味ないから!」と吐き捨てて悠斗は走り去った。
遠ざかる背中が滲んでいく。気持ちを受け入れてもらえるなんて思ってなかったけど。理解さえしてもらえなかった。俺は悠斗にとって理解できない、触れられたくすらない、「変人」──。
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