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「ドゴォっ!!」 トゲのついた鉄球が巨大な石像の上半身を打ち砕いた。 公園に建立された聖者オッペケの像を破壊して撤去するためである。先日のつまらない事故で聖者の巨像はその頭部を失ってしまい、もはや修復は不可能だったのだ。 「ダスクさんお願いします」 「わかった。  掃除魔法壱ノ型!」 魔法使いダスクがほうきを棒術のように振り回すと、小さな竜巻が発生した。この竜巻を操り、石像の解体で舞い上がったホコリを吸い込むのだ 「お前何やってんだ?」 「あ、デイブ。  見ての通り掃除魔法のお仕事中だよ」 竜巻を右へ左へと操るダスクの頭上から声をかけたのは親友の魔法使いデイブだ。 騒々しい石像の解体現場を魔法のほうきにのってふらりとのぞきに来たのである。 「聖者ナントカだっけ?  あのジャマなおっさんの像がなくなると、ここもせいせいするよな」 「ちょっと、声大きいよ!」 ダスクが視線で合図をした先には解体の様子を見て泣き崩れる芸術家の姿があった。 「だ、だいたいさあ、アレ乗っていいことになったのかよ?」 デイブは腕組みをして天を仰ぎ、鉄球を降り回している巨大なアレをにらみつけた。 <巨大兵士『ゴンデム』> この公園のシンボルとして 長い間人々の集いの場を見守ってきた塔のような建造物。この塔が鉄球を振り回す人型の巨大兵器であることがわかったのは先日のことだ。 このゴンデムを操ることができるのはセトただ一人である。彼は洞窟の奥で氷に閉じ込められていたところをデイブたちによって助けられたばかりなのだ。 「ダスクさん、解体の方はだいたい終わりました」 「わかった。あとは任せて」 鉄球を振り回す仕事が一段落して石の巨兵から降りてきたセトはダスクに気がついて声をかけた。 「あ、デイブさん! こんにちわ!」 「おう、体調の方はとうだ?」 「ええ、ぜんぜん問題なしです!」 「いろいろ思い出したんだってな。名前もセトっていうのか」 「はい、記憶がよみがえったのはいいんですが、いっしょに大変なことも分かってしまいまして・・・」
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