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1.医師
ピッ…ピッ…
機械音と共に波打つ心電図。
暗い病室では女が一人ベットの上で眠っている。スヤスヤと寝息をたてている患者の容態を確認すると医師は部屋を出る。
後ろを着いてきていた看護師はドアに鍵を掛け、医師も施錠の確認をすると部屋に背を向けた。医師はふと、手首に巻かれた時計を見る。
PM10:00。
そろそろ迎えが来るはずだ。
そう思った瞬間に目の前に火花が散る。
激しい鈍痛を頭部に感じた、暗闇に突き落とされたかと思えば顔面に痛みが走り我に返る。
無様に床に倒れ込んだのだろう。
額から床へと温かい液体が這い広がる様を眺めていると真横をナースシューズが歩いていく。コツコツと足音が響く通路。
医師は再びぼやけていく視界に瞼を伏せた。
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