理想の妻像とは

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 高輪さんが忙しいのは本当だったようだ。いや、疑っていたわけではないけれど、納得したというべきか。彼から夕方に電話があって、一緒に夕食を食べたかったけれど時間が取れなくなったと言われた。 『本当は駅に迎えにも行きたかったんだけど……どうしても抜けられなくてね』 「いえいえ、そんな! お仕事お忙しいのに、迷惑はかけられませんから」 『迷惑じゃなくて、俺が行きたかったんだよ』 「う……」  甘く優しく感じる言葉に、なんて返せばいいのかわからなくて口ごもったけど、動揺をからかわれることもなく通話は切られたので、本当に忙しかったらしい。  食事はルームサービスでもホテル内でも好きに食べてと言われたけれど、多分全部高輪さんにお会計がいきそうな予感がしたのでホテルの外に出てファミリーレストランで気軽に済ませた。  驚いたのはその後だ。コンビニに寄って部屋まで戻ってきたら、部屋の前に高輪さんが立っていた。 「高輪さん?」  声をかけると、彼はどこかに電話をしていたところだったようで、片手にスマホを持っている。 「今やっと一区切りついてね。ちょっと顔が見られたらと思って。何度か連絡したんだけど」 「本当ですか? すみません、ファミレスからゆっくり歩いてたから気づかなくて……」    
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