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「Wednesday」Episode 1. ~ 匠「雨の水曜日」
プロローグ
静かな雨が降りはじめたあの日の午後、僕は生まれて初めて一目惚れという体験をした。
淡い水色の傘を差し、雨に微かに煙るその娘の横顔はとてもキレイだった。
女の子を好きになるときはその娘の持っている雰囲気や仕草、そして色んな話をして分かってくる趣味や好きなモノ、考え方や価値観、性格なんかを全部ひっくるめ、段々とその娘のことが気になりはじめ、その結果、好きという気持ちが芽生えていくものなんだと、過去の経験も含めずっと今まで思っていた。
でも、それは違った。
あの日、キミを見つけた。キミに出逢った。
その瞬間、僕は魔法にでもかかったように一目でキミが好きになった。
キミにもっと会いたい。
キミをもっともっと知りたい。
そんなふうに思えるほどキミの姿は僕の心に、瞳に鮮やかに焼きついたんだ。
そう、あの日は雨の降る水曜日だった。
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