89th week until

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「あのなあ、いきなり逆プロポーズとか普通にパニくるに決まってんだろ!」 「へ……」 「俺が言うつもりだったのに、なんであんたから言うんだよ! しかも二回って! メンタル鋼かよ! そもそも指輪もなんも買えてねーし、結婚資金的なものも満足に溜まってねーよ! 社会人3年目の安月給なめんな! 5年とか10年とかは言わねーけど、ちょっとは準備期間設けさせろよ! まだ付き合い初めて数カ月だっつの!」  怒涛のように捲し立てられ、唖然としてしまった。 「つーかあんた、まさかとは思うけど、俺が年下なの気にしてるんです? ほんの二歳差だろーが! 50とか60になったら、んなもん誤差だっつの!」 「そ……それまで一緒に居てくれるの……?」 「一緒に居るつもりなかったら、こんなダセーことばっか言ってねーよ!」  もう我慢ならない、とでも言うように、青瀬君が本日一番ともいえる激昂ぶりを見せた。 「俺にもプライド的なものあんだよ! あんたの理想通りにプロポーズしたいと思うだろ、普通に! そりゃまあ確かに俺の言い方も色々と悪かったけど、俺、めちゃくちゃあんたのこと大事にしてるし、態度にも出してるつもりなんですけど!? その時点で色々と察しろよ、この馬鹿!!」  臆面のない気持ちを真正面からぶつけられ、肩で息をしている青瀬君をぽかんと見つめる。  それじゃあ青瀬君は本気で私との結婚を考えてくれていて、なんなら目先のことだけじゃなくて、もっと未来のことまで見据えててくれたってこと?  それなのに私はそんな青瀬君の気持ちを置いてきぼりにして、一人で突っ走ってしまってたんだ。 「あーもー……マジでなんだよ、この状況……」  参ったように呟いた青瀬君が、ぐったりと天井を仰ぎ見る。  随分と長い間、何か葛藤するような様子を見せていた青瀬君は、やがてゆっくりと私に顔を向けた。 「白花さん」 「あ……は、はい……?」  唐突に改まったように呼ばれ、私は咄嗟に身体を起こした。  けれど青瀬君は「いや、違うな、ちょっと待って」と呟いて、何かを考えこむように俯いた。
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