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享年十四歳,小さな棺の周りに飾られた真っ白な花と笑顔の遺影はあまりにも残酷で誰も来ない小さな部屋は驚くほど寒く悲しかった。
ほんの数日前まで娘の笑顔は当たり前で,家の中に響く笑い声は日常の一コマだった。食後にスナック菓子を食べて怒られる声も,お風呂上がりになかなか髪の毛を乾かさないのも,飲み物のキャップを完全に閉めないのもすべてが日常だった。
銀杏の葉が降り積もる並木道で,学校帰りに娘は友達たちと楽しそうにお喋りをしていた。
高齢者の運転する車が娘を下敷きにした瞬間,あたりは悲鳴に包まれ,友達たちの泣き叫ぶ声が響き渡った。
車を運転していた高齢者は娘を助けようともせず,どこかに電話をしていたそうですぐに警察と救急車を呼ぶ連絡をしなかったことが信じられなかった。
誰かが連絡をしてくれたため,すぐに救急車が到着したが誰の目から見ても娘が助かる見込みは皆無だった。後で聞いた話では,娘の首
捻れて背中に顔があったとのことだった。
幸い,友達たちは皆軽症で,もっとも酷い怪我をした子は左腕の骨折だった。
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