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「通園し始めた最初の頃はそうでしたけど、
もう落ち着きましたよ。
今は『悠生くんのパパ』って呼ばれてます」
「あら。
保育園ではやっぱり息子くんが主役なのね」
「そういうことですね」
自然と笑みがこぼれる。
保育園の行事はできる限り夫婦で参加して、
親同士、会話をしたり交流を心掛けてきた。
有名人ということでなんとなく遠巻きだった
けれど、日々の挨拶やコミュニケーションで
少しずつ親しみをもってもらえたのだろう。
その内、それぞれパパ友とママ友ができて、
いつからか周りからそう呼ばれるようになっ
たのだ。
「さて、そろそろ売上チェックしようかな」
香坂さんは日報ファイルを棚へと仕舞うと、
ノートパソコンを開く。
この時間に他店の売上をチェックするのは、
日課で。
数字以外にどんな商品が売れているかも分か
るので、動向をディスプレイに活かしたり、
ショップにない場合は入荷の手配をしたり、
欠かせない業務の一つ。
「私もストックで整理整とんしてきますね」
「うん。
お願い」
家族が待つ家にあともうちょっとで帰れると
思うと、なんだかやる気もアップしてきて。
私は軽い足取りでバックヤードに向かったの
だった。
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