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「う~、冷た~い♪」
そう言って彼女は後ろから、俺のポケットに手を滑りこませてくる。
「お前なぁ、もう高校生にもなって雪ではしゃぐなよな。
それと俺のポケットに手を突っ込むのもやめろ」
俺はつんけんとした感じで彼女に言い放つ。
「えーいいじゃんいいじゃん♪あっためさせてよぉ、人間ホッカイロ~♪」
――――小学生4年生――――
「こうちゃーん見て見て雪うさぎ~♪」
そこにはどうみても雪の固まりにしか見えない、いびつな雪うさぎが10匹くらい列んで置かれていた。
「すみれちゃん、もう帰ろうよ~、僕寒いよ~」
彼女の指先は、ずっと触ってた雪のせいで、とても赤くかじかんでいた。
「うーん、そうだね、私も指動かなくなりそうだし、そろそろ帰ろうかな」
そういって彼女は僕に近づいてきて。
「えい!♪」
後ろから抱きしめるように、僕のポケットに手を滑らせくっついてくる。
「ちょっと、歩きにくいよすみれちゃん」
歩きにくいし、その、すごく恥ずかしかった。
「大丈夫大丈夫♪私がちゃんと支えてるからこうちゃんはこのまま、私をポカポカにしながら帰るのが仕事だよ~♪」
「なにその仕事ー」
「ほーら、ぶつくさ言わないの、ちゃっちゃと歩く歩く、ほらほら、前向いて~」
彼女の家は僕の家のすぐ隣で、いわゆる幼なじみというやつだ。
春夏秋冬いつもはしゃぎまくる彼女に、僕はただただ毎日振り回されていた。
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