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 ゲートを抜け、ぼったくり駐車場へ向かう。そのために通るのは、ガードレールのない歩道。二人並ぶのが精一杯な狭さで、真横を車が走り抜ける。 「明日香。こっち側を歩いていいかな?」  昼は気が回らず、車道側を明日香に歩かせてしまった。せめて帰りだけでも。 「あ、どうぞ。でも、なんで?」 「そういう気分なのさ」  明日香を左に寄せ呟く。キザだと思われただろうか? でも、マイナス評価にはならないはず。 「ねぇ隆行……」  しばらく歩き、明日香が右の口角を上げながら小声で言った。 「どうした?」  また俺、やらかしたかな? 「こっち側さ、これがいっぱいついてくるんだよね……だから縦に並んで歩こうよ」  びっしりとくっつき虫がついたコートを指差しながら明日香は言った。 「……ごめん」  不安は見事に的中。明日香に先を譲り謝った。  駐車場までの三分間、陽に照らされたベージュ色のコートを、ただ眺めて歩いた。
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