《4》

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 後日、新聞の見出しには、『C市の夫婦殺害事件、被疑者死亡で送検』の文字が踊った。  その裏に隠れている苦悩など知りもせず、ワイドショーのコメンテーターが私のことをさも極悪人のように罵った。  遠くへ追いやられたものが、何も連れず手許に戻ってくることはない。  追いやられた側の怒りは、復讐を果たしてなお、()(じん)()すこともない。  犯罪者を親にもつ我が子は、私のことを恨むだろうか。母の愛も知らず、ねじれた人生を歩むだろうか。従兄を殺したことで、うちの血縁関係はこじれるのだろうか。  冥界のほとりでふとそう思ったが、すぐに忘れた。  輪廻があるのなら、次の人生は男として生まれたい。  たった一人の女性を愛し、死ぬまで一途に添い遂げたい。  閻魔様の審判は、思っていたより簡単だった。私の性質を理解してくれて、比較的軽い罰を受けるだけで済んだ。  天国へ行った慶くんとはしばらく会えないそうだ。  別に罪の意識はないけれど、首元を強張らせる重りが少しだけ楽になった。  本当に私は、自分さえ良ければいい類の人間なのだ。  生まれたときから愛に満たされてきた人は、この気持ちなど永遠に分からない。 (了)
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