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プロローグ
「安楽に燃え立て」
彼女の言葉を合図に、その掌からは真っ白な炎が出現する。
「本の古さや状態に関係なく、穢れる本は穢れます。そんな本達に感謝して、弔って、穢れを祓う。今の状態から卒業させるのです」
「卒業…?」
「はい。『本火葬』はきっかけ。そうすることでその本はまっさらな状態となり、次のステージへと進んでいけるんです。例えこの先、もう本としての形を残せなかったとしてもね」
彼女の手中の本は白い炎に覆われているが、紙が燃えているような感じではない。
目の前の出来事に驚倒した青依は、口をあんぐりと開けたままでその様子を見守るしかなかった。
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