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とある水曜日の夕方。
「……はぁ、またやっちゃったーー!」
私は、公園のベンチに座ってため息をついて頭を抱え込んでいた。
山本真美、24歳。デザインの仕事がしたくて上京して、やっとのことで有名なデザイン会社に就職したけど、まだ慣れていなくてよく𠮟られ、同僚や先輩に迷惑をかけてばかりいる。
そして今日、私は人生最大の大失敗をしてしまった。お客様にお茶を渡す時、こけてお客様の顔にお茶を思いっきりかけてしまった。お客様はなんとか許してくれたが、上司や社長に5時間ぐらいの説教をくらってしまった。
「あーもー!何でやらかしちゃうかなー!私!!!」
私は立ち上がり夕焼けに向かって大声をだした。カラスが私を馬鹿にする様に鳴く。と同時にお腹がなった。
「お腹すいたなぁ、お金どのくらいあったっけ?」
財布を取り出してどれくらいあるか確認してみた。
「……うっわ、少ない」
残三千五百円。目の前がもっと暗くなったような気がした。
「あぁ……明日から立ち直れるかな……」
私はため息をついて座り直そうとした。
その時
「なぁん」
私の隣に、いつの間にか鈴を付けた黒猫がいた。
「うわっ!……てなんだー、猫ちゃんか。可愛いー!」
私は黒猫の頭を優しくなでた。黒猫は確か幸福を運んでくれるって聞いたことがある。黒猫は私の耳に付いているイヤリングをじっと見ていた。
「ん、これが気になるの?」
私はイヤリングを取って黒猫に見せた。黒猫はイヤリングをつついたりした。
「ふふっ、よほど気になってたんだ」
可愛らしいなぁと思いながら笑っていた。その瞬間。
「にゃっ!」
黒猫はイヤリングを私の手から払い、そのまま口にくわえて走っていった。
「あっ!ちょ、ちょっと待って!!」
あのイヤリングを持っていかれる。私は急いで逃げ足の速い黒猫を追いかけた。
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