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京の親だとわかるほどに人目を引く容姿に佇まいにつばきは圧倒された。
(私もお義母さまのようになりたい…)
既に通り過ぎた彼女の後姿を見て頷いた。
「大丈夫か」
「はい。私も京様のお母様のようになりたいです」
「母のようにはならなくていい。あの人は強かで己の為ならば何でも犠牲にするような人だ。昔から嫌いだった」
「…きっと、そうならなければいけないような環境だったのではないでしょうか。本当に悪い人であれば、私との結婚は認めてくれなかったと思います」
つばきが想像する以上に一条家に嫁入りするということは大きな重圧がのしかかっていたのではないだろうか。
今ならばそれがわかる気がした。
と…―。
「あら、京様。お久しぶりです」
二人の前に赤い曼殊沙華の着物を着た甘栗色の髪色の美少女が立っていた。
背筋がすっと伸びて、佇まいだけで自信を感じる。
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