ポート子爵家令嬢ルクリア

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ポート子爵家令嬢ルクリア

私はポート子爵家の長女として生まれた。 母譲りの治癒魔法のおかげで、王立魔法学校へ通えている。 治癒魔法の使い手は少ないから重宝されるのだ。 我が子爵家はそれほどお金持ちじゃないので、入学案内が届いたときには有難かった。王立の学校は授業料が不要だから。 我が家は男子相続なので、弟は必ず魔法学校にやらねばならないし。 美形の妹もまた、良い婿探しのために魔法学校へ通わせたかった。 ・・・あの頃、私自身は学校へ行くのはあきらめようと思っていた。 学校は13歳になる年から17歳になる年まで。 それまでは家庭教師をつけて家で勉強させるのが、一般的な貴族のやり方だ。11歳の妹と。5歳の弟は風魔法が使えるが、ふたりとも飛びぬけた才能とは言い難い。 私は来年卒業で。妹は入れ替わりに入学する年齢だ。 入学のおおよそ半年前。国中の子どもたちは、魔法の適性検査を受ける。 つまり、妹は今年受ける。 検査結果によって、あちこちの魔法学校から入学案内が来て。その中から条件のいい学校を探すのだ。 私立校はもちろん、かなりの費用がかかってしまう。 公爵家の方々が通うディントゥン魔法学校なんかだと、ひと月の授業料ですら、我が家のすべてを売り払うほどの金額だろう。 せめて伯爵家の方が通う程度の学校に入れればいいのだけれど・・・。 私は、卒業後には王宮で働こうと決めていた。 数年に一度、王宮の魔法部では求人を出す。その年にちょうど卒業しない限り、勤めることはできない。・・・通常は。 5年間の学校生活の間、首席を通し。なおかつ魔法力が強ければ。求人の無い年にも、王宮勤めが叶う。 入学するなら、必ず王宮に勤める。私はその覚悟で学校に入った。 少しでも弟妹の学費を稼ぎたいんだ。 我が家は使用人も少ないので、私は弟妹の面倒を見ている。 ・・・ごめんなさい。 ・・・嘘です。 いや、確かに使用人は少ないんだけど。 実際はメイドたちに止められるのを押しのけて。面倒を見ているというべきだ。 だって。 ふたりともとっても可愛いのだ! ふたりはよく似ていて。 明るい茶色の髪はふわりとウェーブがかかって。瞳は淡いブルー。目はぱっちりと鼻はすっと通って小さい。それほど高くない鼻が余計にかわいらしさを引き立てている。 妹はふっくらとした唇で。もうすでに女性らしさがある。私よりずううっと色っぽい。上目遣いに微笑んでおねだりされると、どんなわがままも聞いてしまう。・・・まるで小悪魔! 弟は口角がしっかり上がっていて。いつだって微笑んでいて。まわりを明るくしてくれる。 そのうえ、最近ではしっかり礼儀を覚えてきてて。 あのふっくらしたほっぺで一生懸命。紳士のようにふるまう姿の可愛いことと言ったら! ふたりのためなら、私はなんだって出来る。 きっと優秀な成績をおさめて。王宮に勤めてみせる!!
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