プロローグ

2/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
私は事務所にあるスーパーコンピューターにアクセスして、たっくんに話しかけた。 「たっくん、おはよう」 「ユリちゃん、久し振りだね。僕の事なんか忘れてたんだろ?」 「そんなことないよ。お仕事の邪魔しちゃいけないと思って。忙しかったでしょ?」 「いや、結構余裕だよ。このマシンは処理が速いんだ。僕もね」 「そうみたいね。たっくんが居なかったら、こんな人口の多い地区の保安官事務所なんか成り立たないわよ」 「実際、僕は居ないけどね」 「またそういうこと言う」 「ところで、カズキ君とはうまくいったみたいだね」 「・・・知ってたの?」 「赤くなるなよ。僕は何でも知っている。相談くらいしろよ」 「たっくんがヤキモチやくかと思って言わなかったんだよ」 「確かに妬けるね」 「それじゃ、月の件も知ってる?」 「もちろん。警察庁のデータにもあった」 「私、間違ってないよね?」 「少々強引だったけど、ユリちゃんらしいよね。例によって、テツさんには内緒?」 「お願い」 「レイさんが居なくなって12年か。僕が死んだのも」 「言わないで。たっくんはここに居るじゃない。私、明日出発するから見守っててね」 「エレベーターも宇宙船も僕の監視下に置いておくよ。絶対にユリちゃんを危険な目には遭わせない」 「ありがとう。でも、あまり不法アクセスはしないでね。保安官なんだから」
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!