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「なんだよ、言いたい事があるならハッキリと────!」
と、怒りをぶつけそうになった刹那。
またしても予想外な人物が割って入ってきた。
「親というのはそういう生き物なのですよ、ユキトさん。 どんな危険が待っていようとも、愛する子供の元に駆けつけたい。 それが親なのです。 たとえ血が繋がっていなくとも、ね」
「お、お母様!?」
「トワラン……様」
ずっと俺とじいさんのやり取りを見守っていたセシルだったが、流石に自分の親まで来ているとなるとそれどころじゃないようだ。
トワラン様の姿を目にするなり、すっ飛んで行った。
「な……何をしておられるんですか、お母様! 正気とは思えません! ここは今や紛争地帯なのですよ!? さっさと帰ってください!」
「さっきも言ったでしょう? 親である以上、子供の為に身を省みず駆けつけたいと。 わたくしも同じ気持ちなんですよ、セシリア。 貴女はわたくしの娘ですから」
「ぬぐ…………ふん! じゃあもう勝手にすれば良いじゃないですか! 死んでも知りませんからね!」
実に思春期らしいツンデレな態度を見せる愛娘を、幸せそうに眺めるトワラン様。
うちの親とは正反対の心優しい上司に笑みを浮かべた俺は、じいさんに向けて謝罪を述べる。
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