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そして、しばらくその場に一人で泣いていると、突然後ろから誰かに声をかけられたの。
「ねぇ……あの……僕で良かったら一緒に遊ばない?」
アタシは驚いて振り向いたわ。
すると、そこには同じ位の年で、なんだか気弱そうな少年が立っていたの。
「き、君は……んぐ……アタシが怖くないの?」
「え? なんで? こんなに可愛い子が怖いわけないじゃん。」
……アタシが怖くない?
「それにね、僕はね、お父さんに言われたんだ! 泣いている可愛い子を見つけたら絶対に声をかけろ、そのチャンスを見逃すなってね。」
……?
その少年が何を言っているのか、アタシには理解できなかった。
でも次の瞬間、その子は目をぎゅっと閉じて、震える手を私に差し出したの。
「だからお願いします! 僕に仲良くなるチャンスを下さい!」
その少年は必死だった。
そしてその子が今言った言葉をゆっくりと思い返す。
アタシが怖くない?
アタシが可愛い?
友達になるチャンスが欲しい?
ふとその子を見ると、断られると思っているのか、ソワソワ、モジモジしている。
その姿がとても可愛らしかった。
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