自分の素直な気持ちを知りたくて

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『ごめんね…ありがとう。だけど…私のことは…恭介君にはちゃんと彼女を見つけて幸せになってもらいたいし…』 『里桜。それ以上は…言わないで。ちゃんとわかってるけど、この気持ちはずっと変わらない。フラレても、お前のこと、こんなに好きだから』 『恭介君…優し過ぎるよ』 また、涙がこぼれる。 今は、痛いほど誰かを好きな気持ちがわかる。 私は… 千隼先生が好き。 先生にフラレたらきっと… どうしようもなく悲しい。 わかってるけど、でも、恭介君のことをなぐさめる言葉、私には…これ以上、見つけられなかった。 そのまま電話を切って… 私はまた春の空に目をやった。 大きく息を吸って、ゆっくりと吐く。 胸が…熱い。 千隼先生に会いたくて… 会いたくて仕方ない。 『先生…』 ずっとずっと「憧れ」だった思いが「好き」に変わったこと、1秒でも早く、千隼先生に伝えたかった。
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