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お風呂上がり、思い切って裸のまま鏡に映してみる。
ダメだ。これじゃダメ! 自分でもじっと見てらんない。全然きれいじゃない、──醜い。
鏡の中の肉余ってる身体にモザイク掛けたくなった。エッチな方じゃなくて、見せちゃいけない方の。
「私、ダイエットする! あと十キロ、ううんせめて五キロ落とすんだ! お菓子とかやめて、ごはんもおかずも今までの半分にすんの。……半分じゃ多い?」
「ダイエット、はいいけど。無理しすぎはよくないよ。極端に食事減らしたりとかはヤバいんじゃないの? 運動して少しずつ脂肪を筋肉に変えてくのがいいって聞くしさ。あたしもよく知らないけど」
次の日学校で。一番仲いい友達の由加里が、宣言した私の出鼻挫くようなこと言う。
「陶子の問題って見た目どうこうじゃないよ。てか、細くはないけど別に太いって程じゃないでしょ? そうじゃなくて──」
「由加里にはわかんないよ! だって痩せてるじゃん!」
そりゃ「よく知らない」よね。自分はスリムだもん。子どもの頃からずっと細かったって話してたくらいだしさ!
わかんないよ、絶対!
由加里なら間違っても『デブ』なんて言われない。顔は特に可愛いってわけじゃないけど、スタイルいいし。峯くんだって「『デブ』以外なら」って言ってた。
そうだよね。
この高校は厳しくてメイク禁止だけど、大学入ったらメイクや髪型や服で誤魔化せば見た目なんてどーにでもなるんだから。
「私だって由加里くらいの体型だったら。アンタ顔は大したことないもんね!」
「そういうとこだよ、陶子。身体の贅肉は落とせても、その神経の贅肉付いたままじゃ変わんないって言ってんの。……いや、自信持った分だけ余計醜悪になるんじゃないの? 中身が」
由加里が吐き捨てた言葉。酷すぎる。私たち友達じゃなかったの?
──私が痩せて、自分より可愛くなるのが許せないんでしょ!?
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