第十五章・真名歌国

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「ふん、お主のような者が陽翔の近くにいると、なると心配でならんなぁ」 国妃のすぐ後ろには、いつも側に控えているエミリが意地悪く微笑んでいる。 その後ろに控える国妃の付き人達は、口元に手を当ててクスクスと笑っていた。 「私のような者が、陽翔様の側近で申し訳ありません」 芳翠は再び深く頭を下げた。国妃に見られないように、唇を噛み締めながら。 「まぁ、良い。今日はめでたい日じゃ。そなたとの話は、また今度にでもしよう」 国妃は高笑いをしながら、陽翔の隣に用意されている椅子へ腰を掛けた。 芳翠は国妃に対して恨みしかない。だけど、ここで敵意を向ける訳にはいかない。 大人しく、陽翔の後ろへとついた。
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