プロローグ

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 ーー春、桜の花びらが舞う頃、学生たちはみんな、煌びやかに輝いているように見える。  ・・・・・・ーーー青春。  青春って人それぞれ違うと思うけど、部活も勉強も、恋も、色んなことに悩んで、苦しんで、葛藤して・・・そんな全ての時間が、青春だって思う。  私は・・・・・・ひとつだって、なかった。  ただ、平凡に、なんの葛藤もなく、必死に何かするわけでもなく、普通に、高校卒業後、事務の会社に入った。  黙々と作業する仕事は、人見知りで寡黙な私にはぴったりで、淡々と仕事をこなす毎日。  同期は仲が良くて、ちょくちょく飲みにいくこともある。  今さら、青春、だのなんだの言っても、そんな輝かしい時間が戻ってくるわけじゃない。  なんだかんだ、この、平凡な生活に、ささやかな幸せを感じている今が、私にとっての青春、なのかもしれない・・・・・・ーーー。  ・・・・・・そして、今日は久々に同期との飲み会。  飲み会の目的はもちろん、桜木くんの傷心を慰めるためだ。    
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