【03】 崩壊

7/8
163人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
私の言葉に、翔也が唇を噛み締めた。 「もう、梨子のことも翔也のことも信用できない。信じるのが怖い。2人は、私を傷つけて、そう思わせるだけのことしたんだよ」 「だって、翔くんのこと好きになっちゃったんだから仕方ないじゃん」 梨子の言葉に、お母さんが静かに泣き始める。 お父さんはため息をついて、静かに「そんな娘に育てた覚えはない」と言い放った。 それでも梨子は、「私は悪くない」と口にした。 お義父さんは、翔也の頭を座敷に押さえつけて、無理やり土下座をさせる。 「こんな奴だが、婚約破棄だけは…!」 「女は男の浮気を許すものよ」 翔也の両親の言葉に、鳥肌が立つ。 「無理です。もう愛想が尽きました」 私は婚約破棄を言い渡し、両親を連れて料亭を後にした。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!