◇04. 愛おしい。R

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◇04. 愛おしい。R

 高級ホテルのシャワールームでシャワーを浴びる展開なんて予想だにしていなかった。必要もないのにムダ毛処理していてよかった。ヤッピー。  お化粧は落としてよいものか迷ったけど。結局頭を洗ったからええいと。洗ってしまった。 「……貴之。バスルーム空いたから。わたし、こっちでドライヤーかけているね」  慣れないガウン姿に着替えると、ベッドに腰掛けてわたしが浴室を使うのを待っていた貴之に声をかける。襟元のネクタイが緩んでいて、心臓がどきん、と音を立てた。 「じゃあ……おれ、入ってくる。ゆっくりしてな」ぽん、と頭を撫でられ、貴之はわたしと入れ違いで洗面所へと入っていった。……残されたわたし。ドレッサーがあるので、ぶーん、とドライヤーをかけながら考える。わたし……、このまま貴之に抱かれるのかな。抱かれるよねそりゃ。浴室から聞こえるシャワー音がやけに生々しい……みんな、こういう緊張に耐えているんだよね……愛する誰かに抱かれるとき……愛する相手が戻ってくるのを待つまでのあいだ。  生々しい。第一まだ……、キスさえ、していないのに。
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