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「ちょっと、一慶泣かせたらだめじゃん」
「ワン!」
「はいはい、お前の朝ご飯もあるよ。って、全部一慶が用意したんだけどねー。富士子ちゃん、朝はご飯派?パン派?」
「……うう、ごはん」
「よかったー。うちもそうなんだ。泣いたらおなか空くでしょ?食べよ?」
「ワン!」
トントントンと優しく背中を叩く手がある。それが余計に嗚咽を止まらなくさせる。
おかしいな。お酒は抜けているのに。
素面でこんなに人前で号泣したこと……今までないかもしれない。
みっともないのに、全然みんな優しくて、私の涙はなかなか枯れなかった。
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