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って、うぬぼれかな……
「ねえ、ゆかちゃん、僕の彼女にならない?」
ああ、やっぱり。うぬぼれじゃなかった。正直、嬉しい。あんまり意識したことなかっただけで、ももくんのこと、好きだったみたいだ。だけどももくんはいいのかな。私の好きなところ、「顔」だけで大丈夫なんだろうか。
「ゆかちゃん?」
ももくんが不安気に私の顔を覗いた。
「えっと、私、やっぱり顔だけだと思うけど、いいのかな」
「それでもいいよ。ゆかちゃん、ごめん、ちょっといい?」
ももくんは私の髪を急にかきあげて、頬に触れた。ももくんの顔が近づいてくる。
こ、これは……
私はぎゅっと目をつぶった。
だけど、ももくんは、頬を撫で回すだけ撫で回して、呟いた。
「やっぱり、見るだけと、触るのとでは違うな。くそ、夏休みに告白しておけば、あの卒業制作、もっと上手く作れたのに……」
「ちょっと、もー!」
思ってたのと違う!
「ももくん! ひどいよ、ほんとに顔目当てじゃん! 彼女らしいこと、何もなしなの!?」
「ごめんごめん。ゆかちゃんが、そんなに怒ると思わなくって」
ももくんはそう言って、私の唇を塞いだ。
おわり
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