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運命には逆らうことなんてできない。
だからきっと私は、蒼空の言葉をすんなりと受け入れることができたんじゃないだろうか。
「そうなのかも。運命って、本当にあるのかもしれないわ……」
そう認めてしまったら、なんだか無性に蒼空に会いたくなってきた。
うちに帰らなきゃ。
長年一人で過ごしてきたアパートではなくて、蒼空のいる『私達の家』に。
「今度改めて蒼空を紹介するわ。杏にはちゃんと私達のこと知ってもらわなくちゃ」
「もちろんよ。月城様には根掘り葉掘り聞きたいことがたくさんあるから」
どんなことを掘り返されるのか、それは少しの不安と大きな楽しみになった。
『また明日』といつもの挨拶をかわし、私は蒼空の待つ家へと足早に向かった。
はずだったのに。
「ちょっと持って!」
怒りを含んだ声が、私の足を竦ませる。
そうだった、まだこの人がいたんだった……。
「……なんでしょうか」
ゆっくりと振り向いた先には。
「なんだじゃないだろう」
家路を急ぐ私を追って走ってきたのであろう、息を切らした有馬さんがそこにいた。
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