プロローグ

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プロローグ

レンガの柱に挟まれた 黒い鉄製の門扉の奥には 玄関へと続く アプローチが続いており 乱張り(らんばり)された自然石が 静かに並んでいる。 両脇からラベンダーが 手を差し出すかのように 客人を迎え入れた。 木製の大きなドアを 半開きにして スレンダーな女性が 顔を出した。 ピンク色の唇が開くと アルトトーンの声が響いた。 「ようこそ、ヴェルデへ。お待ちしておりました」 にこやかに微笑んで 挨拶をしたのは ここのカウンセラー 志音(しおん)だ。 栗色のカールした 髪をなびかせ 縁取りされたような 長い睫毛の瞳は どこか異国を思わせる 妖艶さがある。
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