愛が重い?again

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「そうよね〜 黒縁眼鏡をはずした素顔がアイドルみたいなイケメンだもん、心配だよねえ」  コンパクトを拾って立ち上がると、洒落た化粧ポーチに放り込みながら、 「でもさ、何であーんなダサい眼鏡掛けてるのかしらね? ブルーライトカットでも今はもっと洒落たのあると思うわよ」  そう言いつつ、首を捻り、 「ああ。ひょっとしたら女避けかしら? あのイケメン具合いを隠すには、アレくらいで丁度いいのかも知れないわね。でもま、大丈夫。秘書室はウワバミ様が、縄張りをガッツリ締めてるからさ、変な女絡みだけは心配ないわよ」  そう笑いながら田淵は麗奈と入れ替わりで休憩に入る準備を整え、タイムカードを押すとショルダーバッグを肩から掛けた。 「じゃあ、休憩に行ってくるわ〜。後、宜しくね!」  受付カウンターから、エレベーターに向かって元気に歩いていく、田淵を見送りながら 「女避け・・・? ウワバミ?」  首を傾げて、何やら複雑な表情の麗奈である。  その頃の祐一は経理課のデスク周りの掃除中であった。  私物をすべてダンボールに突っ込むと、大塚の所に挨拶にやって来た。  微妙な顔の大塚が、 「まあ、頑張れ。俺もお前の穴を塞ぐ為に当分は残業だ」  そう言いながら祐一の肩をポンポンと叩いた。  考えてみれば部下としては働きやすい上司だったのかも、と祐一は脳内で過去の業務内容をシミュレーションをしてみる。  祐一の確認書類の多さや決済の修整、部下に対する指示書。そして大塚が不在でも上げられていく書類達・・・ 「じゃあ、長いことお世話になりました!」 0dfe2ff3-2333-491d-8eb6-bf822a0b469b  うん。俺が居ないほうが部長の為になる。  祐一の気分は実に晴れやかであった。
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