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「店長を呼べ!」
男は入ってくるなり叫ぶように言った。表情からは怒りと焦りが見て取れる。
すると部屋にいた女が慌てて立ち上がり、宥めるように言った。
「ち、ちょっと…落ち着いてください」
「落ち着いていられるか。アンタは店長を呼べるんだろ? さっさと呼んでくれ」
「そりゃプロですから呼べと言われれば呼びますが…」
「だったらすぐに呼んでくれ」
「わ、分かりました。その前に事情を教えてください。一体どうしたんですか?」
男の熱量に押された女は正式な手順はそっちのけで、必要最低限の事だけ聞いて対応しようとした。
しかし男は冷めるどころかヒートアップしてまくし立てる。
「どうしたもこうしたもあるか。今日が月末だってのに、来月のシフトがまだ出てねえんだよ。来月の予定がなんも立てられないだろうが」
「ああ、なるほど。それで店長さんを呼んでほしいと」
「そうだよ。過労で死ぬとかふざけてんじゃねーぞ。さっさと店長を呼んでくれ」
「わ、わかりました」
こうして女は本業であるイタコの業で過労死した店長の魂を呼んでシフトを作った。
店長は死んでいてシフトに入れなかったので、尋ねてきた男がその分シフトに入った。
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