小説書けないのに作家になりたい

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 出社拒否を繰り返し私は会社を辞めます。どう考えても解雇で当然なのに会社は優しく、自己都合退職として扱ってくれました。  作家になれば会社に行かなくてもお金稼げる。作家というと賢いイメージがある。  そんな憧れの職業に就くため私は何をしたか?  小説の書き方本と公募ガイドを買ったのです。  前に通ったカルチャーセンターではレベルが高かった。まず、本を読んで書き方を勉強しよう! と意気込みます。  結構読みました。小説だけでなく、一般的な文章読本も読みました。  でも私は小説を書けませんでした。  書いても序盤で止まります。頭のなかにはこんな小説を書きたいと夢が膨らみ、タイトルばかり増えていきます。  一方書店には、一流作家の小説がずらりと並んでいます。プロになるということは、これらの小説を越えなければならないわけです。  しかし、いくら小説の書き方を勉強しても、何も書けない自分。  鬱々とした日々を二年ほど送り、またコネで就職します。  もうあとがありません。出社拒否したくなる自分と戦い、いつの間にか二十年経ちました。  さすがに、プロの作家になるのは諦めました。  しかし、小説のなり損ないばかり積み上げてきた自分、一作ぐらいはちゃんと小説になっているものを完成させたい  よし、ドラクエみたいな壮大な世界ではなくて、身近な世界を舞台にしよう、ボキャブラリーがないから文章は稚拙にならざるを得ない。でも、最低限、どんな出来事が発生しているかわかるように書こう。  英雄たちの気持ちはわからないから、普通の人間を書こう。弱いけど弱いなりに生きている人の話を書こう……。  そこまで開き直って、自分の好きを詰め込んで、ようやく小説らしいものが書けました。  小説書けないし、大して好きでもないのに、会社に行かず賢そうに見られたいという理由で作家を目指す。  多くの人は、そういう人間を軽蔑するでしょう。  しかし私は、過去の自分に対して呆れるし笑っちゃうけど、自分なりに足掻いていたなあと、懐かしく思うのです。  かつての私みたいな方いらっしゃいますか? いないか。  もし、私みたいな人がいたとして。  他人が何を言おうがそれは自然な感情だから、あまり自分を責めないでほしいのです。  案外、ふとしたきっかけで書けるようになるかもしれません。  今回、ますます読者が減るエッセイになりました。次回こそ、そろそろ連載中の小説の話をするつもりです。
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