カミングアウト

4/14
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
 「海堂気持ちいい、そのままでいて」 彼の右手が私の右手を捉(とら)えた 私はその右手をそっと握り返す 私の左手は結のしなやかな髪を撫でていた どれくらいの時間、そうして居たのか 私は幸せだった  「海堂の心臓の音、僕の背中に伝わってくる、   早いね」 私の心は見透かされている 彼は私の方に振り向いた 両腕を私の腰に回し、胸に顔を埋めながら  「僕の居場所みっけ…」 私の両腕が彼を抱きしめていた その少し青い瞳は、私を捉えていた  「結様は私の大切な方です」 結、21歳の春 私の中に居場所を見つけた
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!