第1話 コインを手にした少女

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第1話 コインを手にした少女

 魔法のコインをくれる神様がその地域にいるって、噂を聞いたの。  だから私、その神様を探して探して探しまくった。  だって、面白そうじゃない。  魔法のコイン。  どんな魔法がかかっているのだろう。  わくわくするじゃない。  それでずっと探していたの。  そしたら、本当に見つかったわ。  神様っているところにはいるのね。  私はその神様から、魔法のコインをもらったわ。  願いをかけてコインをはじく。  表が出れば、そのコインが何でも願いが叶えてくれるらしい。  だから私は、何度もそのコインをはじいたわ。  一つの願いにチャンスは一回きりだったけれど、抜け道はいくらでもあったから。  色々な願い事を叶えた。  コインを手にした私は、すぐに幸せ者になった。  お金持ちになったし、素敵な彼氏にも出会えた。  やりたくない仕事はやらなくていいし、つきあいたくない人とはつきあわなくていいようになった。  努力して受験?  馬鹿じゃないの?  面接官にこびうって良い会社に入る?  働かなくたってお金が手に入るんだから。そんな事しなくていいのよ。  ああ、幸せ。  だけどちょっと退屈だな。  刺激が足りない。  だって、私の目の前で起こる事は全て結果が分かりきった事ばかりだもの。  だからかしら。  きっと罰がくだったのね。  願いを叶えるためには対価が必要だったのよ。  コイン一回につき、寿命一日が。  指が震えてきた。  体から力が抜けていく。  視界がぼやけてきたわ。  ああ、私何回コインをはじいたっけ。  
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