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23 結婚式と壱月の想い
やがて那覇へ無事辿り着いた私たち。
式場となるプライベートビーチのあるリゾートホテルに、三人で宿泊する予定だった。
「ええー、パパ、来ないの?」
花斗が客室のベッドの上でうつ伏せになり、ブーブー文句を言いだす。
手に持っている飛行機のおもちゃを、恨めしそうに見つめている。
「仕方ないでしょう、お仕事なんだから」
壱月はあの後、私にメッセージを送ってくれていた。
といっても、確認したのは飛行機を降り、移動している間だったのだが。
報告書やらなんやらで、今日は愛知に泊まること、そして明日中にはこちらに合流できる旨が書かれていた。
「明日にはちゃんと来てくれるから」
「……でも、ヤダ」
『ヤダ』かぁ。
私も、本音を言うなら花斗と一緒だ。けれど、仕方ない。
私はため息をついて、花斗の頭を撫でた。
「会いたいよね。ママも、壱月に会いたい」
ポツリと私がそうこぼすと、花斗ははっとしてそれからふいっと向こうを向いてしまった。
私は壱月が心配だった。
明日は、姉の晴れ舞台だというのに。
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