第二話。【新米冒険者(仮)。華々しく伝説の第一歩、踏み出してみるの事。

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 犯罪歴があり、その結果として犯罪奴隷に落とされたものは後日、赦免されても騎士になることは出来ない。  その点、ジェイミーは騎士階級の出身であり、身分・戸籍上の問題はない。が、騎士として叙勲されるための一つの目安。  それがアヴァロニア王立士官学校への入学と卒業。その後、5年以上の軍務経験。或いは従士として、正騎士に10年仕えた後、騎士叙勲試験を経て任じられるのだが現状、士官学校へは【女性】の入学は認められていない。  つまりは幾ら本人が優秀でその身分、門地に問題がなくてもジェイミーは自身の奮闘努力ではどうにもならない性別の問題で、騎士への狭き道は更に窮屈な、針の糸を通すが如きものとなっている。  かつて、自身の性別を偽って士官学校への入学を果たした者がいた。  それはとある名門貴族の、唯一の後継者にしてその家柄が武門に秀でた伯爵家のものであった。  が入学後、程なく事は露見した。  身分、出自の詐称は重罪である。その貴族は極刑こそ免れたが、爵位を剥奪され下賜されていた荘園の他、財産の殆どを没収。一族郎党、悉く平民に落とされた。  それがもし仮に平民、騎士階級のものであったら如何であろうか。  恐らくは騎士爵家筆頭のローゼンハイム家とは言え、ジェイミー自身とその監督責任者である当主、後継者である兄達は極刑に処されるだろう。
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