第二話。【新米冒険者(仮)。華々しく伝説の第一歩、踏み出してみるの事。

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 入学当初、ジェイミーは自らの剣技のみに頼る傾向が強く、魔法による身体強化と防御結界。魔術的補助をかけられた武具・防具を駆使するネイアに惨敗を喫することが多かった。  そして一念発起。自身も身体強化の魔法。特に視覚・動体視力の強化と速度強化を重点に修め、現在ではその見切りと隙をつく剣戟に敵うものは皆無と言っていい。  唯一、ネイアを除いて。  騎士になれず、平民へと落とされた元貴族の女性に関して、世間一般にはあまり広まっていない後日談が存在する。  彼女は平民に落とされたとても、その人生に何ら悲観することなく、時には傭兵。時には冒険者として自ら道を切り拓き、その波瀾万丈の人生の中で一人の少年を弟子として得ることとなる。  その少年は後年、平民出身の騎士で初めて、聖騎士の称号を得ることとなる、稀代の英雄。  名をアレク。騎士叙任に際し、師の提案を受けアンクザンドと名を改める。  後、聖騎士となり一代騎士ではない、世襲可能な騎士爵を得た時、新たに家名・ローゼンハイム家を興す。  ジェイミーにとってはつまり、ローゼンハイム家創始者の名であり、家名は彼の師にして最愛の伴侶たる、元貴族の女性に因んだ名前であるが、その事を知る人間は少ない。
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