プロローグ

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プロローグ

「ねえ、お母さん。運命の赤い糸って、ほんとにあるの?」 「どうだろね。信じてる子には、きっと(つな)がってる人がいるんじゃないかな」  小学五年になった頃から、ずっと不思議に思うことがある。  運命の赤い糸は、いつ結ばれるんだろうって。  生まれた時だと言うなら、相手が違う歳だと成り立たない。  じゃあ、もう少し大きくなったら?  それを決めるのは、神様なの?  もう、わたしの小指にも、誰かに繋がる糸は続いているのかな。  その相手が、好きな人だったらいいな。  恋人って、手を繋いだり、デートしたりするんでしょう?  心から好きな人とじゃないと、なりたくないもの。  想像しては、いつもドキドキワクワクしていたけど、ある日知ってしまったの。  わたしの赤い糸は、三年後の高校一年生で現れて、知らない人と結ばれるって。  ねえ、神様。  今からなら、まだ間に合いますか?  あと何度願えば、あの人と糸を結んでくれますか?  これが運命というのなら、未来に逆らってもいいですか──。
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