真っ赤な嘘のクリスマス

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 でも不幸になりたくないなら動かなければならない。自分の力で幸せになる勇気を持たなければならない。それがどんなに辛い道であろうとも。 「あっ、私離婚したら中野君とデートしなきゃいけなかったんだ」 「なんだそれ?」 「独身だし、彼氏いないからいいですよね?」  私は悪戯な笑みを浮かべる。 「いいわけ……。一度だけだぞ。その後俺とデートな」  ちょっとだけ独占欲のある物わかりの良い彼と私はその後、短いお付き合いののちに結婚した。もちろん彼のご両親には猛反対されたが、反対されればされるほど愛というのは燃え上がるもので、私は彼の期待に応えるべく、ご両親の懐に入り、理解してもらえた。  そして私は好きな事を仕事にして、間もなく子供を授かった。 『二人はそれからずっと幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし』と締めくくりたいところだが、壮太はとても忙しく、とてつもなくモテた。だから、それなりに喧嘩して、それなりに疑い合って、それなりに許し合って、沢山愛し合って、沢山信じ合って、沢山幸せを分かち合って、最後は幸せな人生と呼べる日々を過ごしたのでした。  え? 本当に壮太の素性を知らなかったのかですって?  んふふ。皆さんが見てきたことが全てですよ。
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