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「で、話って何?」
「あっ、あのっ、さっきの挨拶かっこよかったなって……」
俺は藤ノ木凛。職業は「学園の王子」だけど、この字面から想像できるようなキラッキラしたタイプじゃないってことは先に言っておく。
陽か陰かでいえば陰……つまり闇属性だ。
自分で言うのもなんだけど、この美麗な顔面からは想像もつかないほど、俺は根暗だ。
かっこよく表現すれば、「孤独を愛する男」ということになる。
まぁ自己紹介は追々ってことで、ひとまず今のこの状況から説明しよう。
整然と並んだ新品の体育用具、ピッカピカの床。まだほとんど使われたことがなさそうな体育倉庫に、男女が二人っきり──もしかしなくてもそういう展開になりそうな感じだけど、なんか申し訳ないよなー、初めての使用目的がそれって。
「あぁ、俺とヤりたいってこと?」
「えっ……」
「違うの? じゃあ帰っていい?」
「待って! 私でよかったら……」
俺はセックスが好きだ。好きすぎて一日一回なんかじゃとても足りない……けど。
『私でよかったら抱いて下さい』? 何それギャグか? この俺が相手に困っているとでも?……
なんて口に出さないだけ優しいな、今日の俺。
「俺を何だと思ってるの? 性欲のバケモノ?」
「えっ? そんな……」
「よく知ってるね。でも君で『よかった』かどうかはヤってみなきゃ分かんないし、俺が選ぶのは『イイ』って分かってる相手か正直な子だけ。……意味わかる?」
女はいい。柔らかくていい匂いがして、何より中に入ると気持ちいい。誰でもいいとまでは言わないけど、正直そこそこ可愛くて従順なら、他はとくにこだわる必要なしだ。
「抱いてっ……ください……」
「正解。そこに手ついて」
「……ぁっ」
だってどうせ明日には忘れてる。この子の顔も名前も……あ、そういえば名前聞いてない。
まぁそんなのどうでもいいし、気持ちよければ何だっていい。
とはいえついでに相手も満足させておけば後腐れもないし、あわよくば今後もこういう関係を望める。
だから雑なセックスはしない。これ鉄則。
「すっごい濡れてる。ほら……もう指入っちゃう」
「っあん」
「あ……もしかして彼氏いる? そういうの分かっちゃうんだよね、俺」
相手に彼氏がいるってだけで、普段の数倍は楽しめる。罪悪感に快楽が勝る瞬間の顔は見てて興奮するし、無理やり犯してる感も少しだけ味わえてお得だ。
「へぇ、彼氏いるのに他の男とこんなことしちゃうんだ?」
「あっ……!」
「下着濡れちゃったけど大丈夫? バレないかな」
「ああんっ……!」
「……あれ、もうイっちゃった? 可愛い」
「……ンっ……」
「キス」と書いて「恋人ごっこ」と読むって知ってた? 少なくとも俺の辞書にはそう載ってる。恋とか愛とかどうでもいい。気持ちよければ好きになるし、またシたくなる。それ以外の感情って必要ある?
「好きに動いていいよ。どこが気持ちいいか教えて?」
そんな「キス」で面白いほど簡単に落ちる女の思考回路ってマジでどうなってんのーっていつも思うけど、まぁ俺にとってはありがたい。とりあえずこの顔に生んでくれた親には感謝してる。
「そこ気持ちいいんだ? エロい顔してる」
「ゃっ……」
「隠すなよ。今のとこ突いてあげるからこっち見てて」
まぁ生々しい実況はこれくらいにして、とりあえず一言。やっぱセックス最高……!!
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