プロローグ

2/4
2012人が本棚に入れています
本棚に追加
/442ページ
目が覚めると辺りはやけに静かで、微かな振動と共に遠くで機械音が聞こえる。 枕の下敷きになっていたスマホを見つけ画面に触れると、その眩しい光に思わず目を閉じかけた。 徐々に目を慣らしながら時間を確認すると、ちょうど夜中の0時を過ぎたところだった。 つまりは、ここへ来てまだ半日しか時間が過ぎていない。 半日しかという表現よりも、半日も……つまり12時間も経っているのに、この状態があと同じだけ続くのだと思うと、とてつもなく遠い気持ちになってくる。 でも、それだけ私は遠くまでやってきたのだ。 消灯の中、スマホの明かりだけを頼りに蛍光灯のスイッチに手を伸ばすと、カーテンで閉ざされた狭いスペースは頭上の方だけ明るく照らされる。 枕元には暇つぶしのために持ってきた文庫本や、お腹が空いたら食べようと思って買っていたコンビニのおにぎりが散乱していた。 まだ、それらに触れる元気はないけれど、薬を飲んだお陰なのか、少し眠れたお陰なのか、さっきよりは随分と頭痛が楽になっている。 普段は乗り物酔いとは縁がない私でも、昨日までの疲れが溜まっていたのだろう。
/442ページ

最初のコメントを投稿しよう!