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並んでいる双子の店員の背後に回った彼女が二人の後ろ頭に手を伸ばして、ポニーテールを同時に解いた。
二人の長い黒髪が、ふわりと揺れる。まるで同期をとっているように二人は手を後ろ頭に回して、不思議そうに見つめ合っていた。
二人は口角を上げている彼女の存在に気がついていないようだ。
そして、彼女が再び真っ直ぐ僕のいる席に戻ってくる。腰掛けて両肘をテーブルの天板につけると、両方の掌に顎をのせた。
それはチューリップの花が咲いているようで、どこか得意げだ。
「どうでしたか? 同時に髪が解けるなんて確率は低いと思うのですが」
「ええ」
そう応えた僕は違う事で驚いていた。
僕らと双子の店員の間には大きなガラス窓がある。
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