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15.秋分
彼の人と酒酌み交わす秋彼岸
パン屋さえ花を商う秋彼岸
花よりも赤く恋よりも胸いっぱい
彼岸の月鈍く光りて誘いけむ
秋の夢ヤバかったのは若さゆえ
みずどりの羽根生え変わる冬備え
彼岸過ぎて川面の雲の昏きかな
目を伏せて秋のコートに顔埋め
雨止まずマリーゴールドときめきぬ
幻の秋の夕陽に集う者
秋のなぎさ平和に終わる世界かな
秋時雨流し目くれるマネキンや
冷たい雨マロングラッセ似合う街
雨風のコスモスなぶれど艶めきぬ
ガラス戸に映る秋空ラジオ消す
秋の夢波に揺られて薄目開け
空箱の香り楽しむ金木犀
石塔を温める術なき秋夕陽
十月は黄昏の国鍬洗う
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