第十章 虹を織る丘 赤

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 そして、数日後、俺は樫山を美術展に誘った。 「樫山、俺と夢明は結婚するよ」  それは、壁一面が青い部屋で、それが芸術と書かれていた。まるで水槽に入ったかのようで、空気さえも水を含んでいるように感じる。 「…………俺と別れるの?」  樫山が、吐き出すように言った台詞に、俺は過剰に反応して樫山を見た。 「ソコ!そこが問題!付き合っているのだ、多分、俺達」  それなのに、手も握らないというのは、どんな了見なのだ。俺が樫山の手を握ろうとすると、樫山の手が逃げた。人前で困るというのもあるが、今、ここには俺達しかいない。 「手も握らない」 「…………触れたら、もう止められない。全部、占領したくなる…………」  泣いているような樫山の声に、俺はまじまじと溜息をつくと、両手を伸ばした。そして樫山を包み込むと、キスしておいた。  すると、樫山が静かに俺の腰と頭に腕を伸ばしてきて、きつく抱き締めて、キスを返してきた。 「いいの?…………どんどん、違ってくるよ」  尻を揉まれて恥ずかしいが、変わらないと進めない未来もある。 「いいよ…………」  俺達は未来に進むのだ。
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